さて、前編ではサーバーの仮想化とは何なのか、また、利用シーンを考えてみました。

後編は、コスト面について少し掘り下げて話をしましょう。

仮想化導入において考えるコストはいくつかあります。
そしてその中には見えるコストと見えにくいコストがあり、両方をきちんと考えることが重要です。

コストについていくつか例を出してみます。

【見えるコスト】
 1.イニシャルコスト
   (ハードウェア費用・ソフトウェア費用・構築費用etc)
 2.保守・ファシリティのコスト
   (ハードウェア保守費用・省電力費用・省スペース化によるフロア削減費用etc)

【見えにくいコスト】
 3.システム監視・管理によるコスト
   (メンテナンス費用・作業効率化による人員削減・高負荷対応etc)
 4.ビジネス課題解決コスト
   (ビジネスの継続性・障害/災害時のビジネス損失コスト・既存資産の有効活用etc)
1. イニシャルコスト

イニシャルコストとは実際の導入にかかる費用です。
一番検討されるコストになると思います。

そのイニシャルコストだけを考えた場合、これまでよりコストが増える可能性があります。

例えば下記のようなケースが考えられるでしょう。

<仮想化前>
サーバー本体 100万

<仮想化後>
サーバー本体 80万
仮想化ソフトウェア 30万

※あくまで一例です

このように仮想化することでサーバー本体の費用は削減できても仮想化に必要なソフトウェアの導入等でコストが嵩む場合も考えられます。

しかし、前述したように仮想化することで、省スペース化や消費電力などの削減効果を得られることで運用コストを削減することになります。よって、長期的な視野を持って包括的に考えることが必要になります。

2. 保守・ファシリティのコスト

ハードウェアの統合により、ハードウェアの運用や保守コストを削減することが可能です。

(例) サーバー3台を1台にまとめた場合
メーカー5年間オンサイト保守サービス(24時間365日)
※Lenovoサーバー保守サービスパックの場合

¥92,400 × 3台 = ¥277,200

¥92,400 × 1台 = ¥92,400

本体の内部的な構成が変わっても保守料は基本的に機種と台数によるので、機器が少なければそれだけ保守コストは削減可能になります。また、台数が少なければ省スペース化によるコスト削減と消費電力の削減にもつながります。

さらにOracle®データベースのようにCPUライセンスの場合、仮想マシンの数に影響されないので、ソフトウェア費用も削減可能になります。

3. システム監視・管理によるコスト

システムを運用する上で、管理する人間は必ず必要になります。

メンテナンス・追加サーバー導入・システム移行など、多くの場面で【人】が動かなければなりません。
サーバーを仮想化することで、メンテナンスの時間を短縮させることやサーバーの増設等を容易にし、人件費などの費用を削減することが可能です。

4. ビジネス課題解決コスト

仮想化技術には多くのメリットがある反面、仮想マシンの動作する物理マシンが停止した場合に全ての仮想マシンが停止してしまうというデメリットもあります。

例えば障害時・災害時、企業においては物理的な損失だけでなくビジネスの損失も同時に発生します。

しかし、仮想化したマシン間でクラスタ構成(注1)を構築する等の方法で障害のインパクトを縮小することは可能です。また待機系サーバーは障害が発生するまで待機状態にあるので普段の負荷は非常に小さいため、(ハードウェアのスペック等、諸条件にもよりますが)物理サーバーでクラスタ構成する時よりハードウェアコストを削減できる見込みがあります。

HAクラスタ構成におけるフェイルオーバーのイメージ図

このように短時間で復旧可能な高可用性システムを仮想マシンで構築することにより、ビジネスの損失回避や継続性を確保できます。

今まで実現できなかった課題を仮想化技術を用いて解決することにより普段の数字には見えづらいコストを削減します。

長々とサーバーの仮想化について述べてきましたが、テレビと同様まだまだ変わっていく分野なので、季節が変われば、仮想化も既に古いものになっている・・・かも?しれません。

ライタープロフィール

西 達彦

サービス営業部ネットワーク課勤務。

平成22年林兼コンピューター入社。
某大学医学部附属病院様で7年間の常駐勤務を経験。
現在は福岡・熊本を中心に活躍中。趣味はサッカー。

(注1)
複数のサーバーを連携して一つのシステムとして運用するシステムのこと。
大きく分けてHAクラスタと負荷分散クラスタがある。
HAクラスタの場合、稼動系サーバーで障害が発生した時には速やかに待機系へ業務を引き継ぎ(=フェイルオーバー)、システムの稼働を継続する。